feat: Symfony 7.4対応 - PHP 8.3、PHPUnit 11、Doctrine ORM 3.0への移行

[nanasess]

概要(Overview・Refs Issue)

Symfony 7.4 (LTS) への対応を実施し、関連する依存関係を最新版にアップグレードしました。

• Symfony 6.4 → 7.3/7.4 へのアップグレード
• PHP 8.1 → 8.3 への対応
• Doctrine ORM 2.11 → 3.0 への移行
• PHPUnit 9.5 → 11.0 への対応
• PHPStan 1.7 → 2.1 への対応
• Monolog 2.x → 3.x への対応
• BCMath対応による精密金額計算の実装

主要な変更:

• PHPアノテーションからPHP 8属性（Attribute）への全面移行
• Doctrine EventSubscriberからListenerへの移行
• PHPUnit 11対応（データプロバイダの静的化、テスト設定の更新）
• テスト環境の安定化（66件のテスト修正コミット）

方針(Policy)

アップグレード方針

1. 段階的な移行: Symfony 6.x deprecation対応 → Symfony 7.x対応の順で実施
2. 後方互換性の維持: プラグインとapp/Customizeの互換性を可能な限り保持
3. Rectorの活用: 自動修正可能な変更はRectorで一括処理
4. テストカバレッジの維持: 既存テストを全て修正し、動作保証を確保

技術選択の理由

• Symfony 7.4 (LTS): 2025年11月リリース予定、2029年11月までサポート予定
  • 現在の6.4 LTSは2026年11月までサポート
  • より長期的なサポート期間を確保
• PHP 8.3: 2026年11月までセキュリティサポート
• Doctrine ORM 3.0: Symfony 7との互換性向上、パフォーマンス改善
• PHPUnit 11: PHP 8.2+対応、最新のテスト機能

実装に関する補足(Appendix)

主要な変更内容

1. 環境設定の更新

framework.yaml:

framework:
    handle_all_throwables: true  # Symfony 7で必須
    session:
        cookie_secure: auto  # 環境に応じた自動設定
        cookie_samesite: none
    validation:
        enable_attributes: true  # アノテーションから属性へ
        email_validation_mode: html5

doctrine.yaml:

doctrine:
    orm:
        controller_resolver:
            auto_mapping: false  # Doctrine ORM 3.0で必須

2. アノテーション→属性への移行

EC-CUBE独自アノテーション:

• Eccube\Annotation\* → Eccube\Attribute\*
• EntityExtension, CartFlow, ShoppingFlow, OrderFlow, FormAppend など

Symfony/Doctrineアノテーション:

• @Route → #[Route(...)]
• @Template → #[Template(...)]
• @ORM\Table(indexes={...}) → 個別の #[ORM\Index] 属性

3. Doctrine EventSubscriber → Listener への移行

#[AsDoctrineListener] 属性を使用したListenerパターンに移行:

• InitSubscriber → InitListener
• SaveEventSubscriber → SaveEventListener
• TaxRuleEventSubscriber → TaxRuleEventListener

4. PHPUnit 11対応

• データプロバイダの静的化（60+ファイル）
• phpunit.xml.distの更新（listeners → extensions）
• convertDeprecationsToExceptions属性の削除
• dama/doctrine-test-bundle 8.0への対応

5. Monolog 3.0対応

Processorのシグネチャ変更:

// Before: public function __invoke(array $record): array
// After:  public function __invoke(LogRecord $record): LogRecord

6. BCMath対応

精密金額計算の実装:

• TaxRuleService、Order、OrderItem、CartItemでBCMath関数を使用
• nanasess/bcmath-polyfill導入（BCMath拡張なしでも動作）

7. 削除されたクラス

• SameSiteNoneCompatSessionHandler - Symfony 7標準機能で代替
• AnnotationReaderFacade - PHP 8属性への移行により不要

テスト修正の詳細

66件のテスト関連コミットで以下を修正:

• PHPUnit 11互換性の確保
• MySQL/PostgreSQL/SQLiteでのトランザクション管理の最適化
• Codeception環境のセッション問題の解決
• テストクラス命名規則の修正
• 型宣言の厳密化

テスト（Test）

実施したテスト

1. ユニットテスト

vendor/bin/phpunit

• 全テストスイートの実行を確認
• PHPUnit 11での動作を確認

2. E2Eテスト（Codeception）

vendor/bin/codecept run acceptance

• 主要なシナリオの動作を確認
• セッション管理の問題を修正済み

3. 静的解析

vendor/bin/phpstan analyse --level=6

• PHPStan level 6で全エラーを解消

4. GitHub Actions

• すべてのCIパイプラインが正常に動作することを確認
• MySQL、PostgreSQL、SQLiteの全データベースでテスト成功

テスト環境

• PHP 8.3
• MySQL 5.7/8.0
• PostgreSQL 14
• SQLite 3

相談（Discussion）

レビュー時の確認事項

1. プラグイン互換性: 既存プラグインへの影響範囲の確認
2. app/Customize互換性: カスタマイズコードへの影響確認
3. パフォーマンス: BCMath導入による性能への影響
4. 移行ガイド: UPGRADE_GUIDE_4.3_TO_SYMFONY7.mdの内容確認

今後の検討事項

• プラグイン開発者向けの移行手順の周知方法
• 本番環境での段階的ロールアウト戦略
• パフォーマンスベンチマークの実施
• Symfony 7.4 LTS正式リリース（2025年11月予定）後の最終調整

マイナーバージョン互換性保持のための制限事項チェックリスト

⚠️ 注意: このPRはメジャーバージョンアップ（Symfony 6 → 7）を含むため、詳細な互換性確認が必要です。

• 既存機能の仕様変更はありません
• フックポイントの呼び出しタイミングの変更はありません
• フックポイントのパラメータの削除・データ型の変更はありません
• twigファイルに渡しているパラメータの削除・データ型の変更はありません
• Serviceクラスの公開関数の、引数の削除・データ型の変更はありません
• 入出力ファイル(CSVなど)のフォーマット変更はありません

互換性に影響する変更

以下の変更はプラグイン開発者に影響します（移行ガイドで対応方法を提供）:

1. PHP要件: PHP 8.1+ → 8.2+
2. アノテーション: Eccube\Annotation\* → Eccube\Attribute\*
3. 戻り値型の付与: すべてのプラグイン、カスタマイズクラスに適切な戻り値型を付与推奨
   • ./vendor/bin/patch-type-declarations で自動付与可能
   • 事前に適切な @return での型指定を推奨
4. 削除されたクラス: SameSiteNoneCompatSessionHandler、AnnotationReaderFacade

レビュワー確認項目

• 動作確認
  • 管理画面の主要機能（商品管理、受注管理、会員管理）
  • フロント画面の主要機能（商品一覧、カート、購入フロー）
  • プラグインのインストール/アンインストール
• コードレビュー
  • アノテーション→属性への移行が適切か
  • Doctrine Listenerの実装が適切か
  • BCMath対応の実装が適切か
• E2E/Unit テスト確認(テストの追加・変更が必要かどうか)
  • 全テストスイートの実行確認
  • 新規追加テストの妥当性確認
• 互換性が保持されているか
  • 既存プラグインでの動作確認
  • app/Customizeでのカスタマイズコードの動作確認
  • 移行ガイドの内容確認
• セキュリティ上の問題がないか
  • 権限を超えた操作が可能にならないか
  • 不要なファイルアップロードがないか
  • 外部へ公開されるファイルや機能の追加ではないか
  • テンプレートでのエスケープ漏れがないか

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関連ドキュメント

• UPGRADE_GUIDE_4.3_TO_SYMFONY7.md - プラグイン開発者向け移行ガイド
• Symfony 7.0 Upgrade Guide
• Symfony 7.4 Roadmap
• Doctrine ORM 3.0 Upgrade Guide
• PHPUnit 11.0 Release

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